第五章
ルーティの髪はまだ完全に乾いておらず、水滴がぽたぽたと床に落ちて。
フォックスは自分の首に掛けていたタオルを取ると、歩み寄り、ルーティの頭の上に被せて、優しく水滴を拭っていく。
「……ごめんな」
不意にぽつりと呟かれ、ルーティは正面を向いてフォックスを見つめると、
「もういいよ」
――フォックスや他の皆だって、ダークシャドウと同じ気持ちで、ただ“大切な人”を守る為に、隠していただけなんだ。
それでも、許されることではないけれど。
「その代わり、父さんのこととかいっぱい話してね。今度は、嘘は無しで」
やっと、ルーティが笑ってくれた。
嬉しさのあまり、フォックスは乱雑にルーティの頭を拭いてやりながら。
「もちろんだ! 飽きるくらいに聞かせて、睡眠妨害してやる!」
「そっそれは勘弁……かも」
ようやく和解して、笑い合う二人。すると、ダークウルフがごほんと咳払いをして。