第五章
「ルーティ」
部屋の扉のすぐ横の壁に肩を並べて背中を預けていると、フォックスが現れて。
ダークウルフは相変わらず腕を組んだまま、さっさと話を済ませろとばかりにルーティを横目で見遣ると、顎で指し示して。
「あの、さ……」
フォックスは今更ながら己の過ちを悔やみ、ルーティと目を合わせられないでいた。
ルーティは短く息を吐き出すと。
「……今流行りのツンデレ風に言うと」
ぷいと顔を背けて。
「別にフォックス達の為に、戻ったわけじゃないからね。僕が行かなきゃ、あの戦いは終わらなかっただろうし」
それまでうつ向いていたフォックスは、はっと顔を上げた。ルーティは話を続ける。
「思い込み、とかじゃないよ。ダークシャドウも事情は知ってたみたいだし、あの戦いがいかに無意味かも分かってた。……そこまで分かってたのが多分、僕だけだったから、止めたかった。それだけ」