第五章
爆発。黒煙が辺り一面を覆い、ルーティは咳き込みながらその場に跪いた。
雨のお陰か、あっさりと黒煙は晴れて。
「何だ……?」
ファルコは思わず呟いて。
――音が止んだのだ。先程まで銃声が、刃と刃のぶつかり合う音が、泥濘を踏み鳴らす音が絶えず、聞こえていたというのに。
「え……?」
捩じ伏せられていたフォックス。
しかし、ダークウルフは拳銃をホルスターに仕舞ってフォックスを解放すると、立ち上がり、その場を離れて。……そうして攻撃を中断したのは、彼だけではなかった。
「どういう風の吹き回しよ……」
庭にいたダークシャドウの全員が攻撃を中断し、X部隊メンバーから離れたのだ。
サムスは己の体を起こすと、頬に付いた泥を腕で拭いながら呟いて。
もちろん、驚いているのはX部隊メンバーだけではない。突如、攻撃を中断したことに驚き、立ち尽くす男が一人。