第五章
「何故っ……邪魔をする!」
ダークピカチュウは鋭く睨み付けて。
「戦いたくないから!」
咄嗟に答えるルーティ。目尻に涙を浮かべながら、訴えかけるような瞳を向けて。
「嫌だよ……っスピカ、思い出して」
「俺はダークピカチュウだ!」
ルーティは首を横に振って。
「違う! 君は……本当は……っ」
泥濘るんだ地面のせいで、思うように踏ん張れない。力負けして少しずつ押されながら、ルーティは声を上げる。
「お願い! 彼に……っ真実を教えて!」
それは他の誰でもなく。
「隠さないで! 偽らないで!」
強く、訴えかけていた。
「吐いた嘘がその人を守る為かもしれないっ……それでも、本当に辛いのは」
ルーティは渾身の力を込めて。
「大切な仲間に偽られる、その守りたい人なんだ!」