第五章
「へえ。あの餓鬼、逃げたんだなぁ?」
ダークリンクの言う“餓鬼”とは、恐らくルーティのことだろう。ファルコはぐっと歯を食い縛り、眉を顰め、睨み付けて。
「何だその目は。……ああそうか。信じてんだな? あの餓鬼が戻んのを」
ニヤリと口角を吊り上げてはずばり言い当てて、ダークリンクはファルコを蹴り倒すと力強く胸を踏みつけて。
「戻るわけないだろぉ!? 偽りだらけの雑魚を助ける為に、わざわざ命投げ出す馬鹿はいねえからなぁ! あははっ!」
嘲罵し、踏み締める。苦痛に顔を歪ませるファルコを見ては楽しみながら、剣を逆手に持つと、喉元に剣先を突き付け。
「くっくく……心配しなくても、この世は気付かないさ」
ダークリンクは剣を振り上げて。
「今度は俺達があんたらに化けて、同じように偽り、世界を騙すんだからよおお!」
剣が、降り下ろされる。