第五章



「X部隊、総員に告ぐ!」

ピーチより無線が入った。

レッドはイヤホンを無線から外すと、スピーカーに切り替えて今現在、無線を付けていないルーティにも聞こえるようにして。

「エックス邸にダークシャドウが攻めてきたわ! こっちを潰して拠点にするつもりみたい……っ今、何とか応戦」

雑音が酷い。

ローナとシフォンは顔を見合わせると、その場を離れ、エックス邸へ駆け出していた。ネロはルーティの表情を伺って。

「……かく、……って、お願、きゃあ!」

無線が不自然な形で途切れた。

事態は一刻を争うのだろう。レッドは再び、無線にイヤホンを繋ぐとネロに「行こう!」と声をかけて先に駆け出した。

俯いているルーティ。ネロは目を細めて。

「……そうかよ」

ネロはルーティに背中を向けると、雨に濡れた前髪を掻き上げては溜め息を洩らし。

「ルーティ」

ネロは横目で捉えながら。

「お前にしか救えない奴がいる」

意味深にそう告げて、ネロは駆け出す。ルーティはただ、激しい雨に打たれていた。
 
 
6/37ページ
スキ