第一章
強面の男は小さく舌打ちをすると、弾かれた銃を拾い、ベルトに備え付けられたホルスターに仕舞った。
薄茶色の男も同じくホルスターに銃を仕舞うと、ルーティの元へ駆け寄り、
「大丈夫か?」
と心配そうに声をかけてきて。
まともに戦えてはいないが、何とか生きている。ルーティは苦笑を浮かべながら頷き、無事を示して。……いや、それよりも。
――どうして、僕の名前を。
「大丈夫だった? 物凄い音がしたけど」
電話の相手も心配そうに声をかける。
ルーティは一呼吸すると、「大丈夫です」と苦笑混じりに答えて。……本当は、まだ手足が震えていたのだが。
「心配させちゃってすみません。……はい。はい、ではまたいつか」
最後まで丁寧な口調で対応し、会話を終えて電話を切る。ルーティは携帯を仕舞う直前に現在の時間を確かめ、声を上げた。
「うげえええっ!?」