第五章
それでも、ルーティは躊躇していた。
皆に酷いことを言って飛び出してしまった手前、あっさり帰るなんて真似、そう易々と出来るものではない。
「僕には……無理だよ。例え、世界を救ったお父さんの血がこの体に流れてるのだとしても、僕は……死ぬのが、怖いんだ」
戦士の癖に、今更な発言かもしれない。
でも、父親の死因が救世だとすれば、怖くなるのも無理もない。ルーティだって、父親と同じ轍を踏むわけにはいかないのだ。
「僕達が死なせない!」
咄嗟にローナが答えた。
「だって僕達、同じX部隊のメンバーじゃん。だから、死なせない。約束する」
すると、ローナは小指を立てて、ルーティに差し出し。……指切りのつもりだろうか。ルーティは相変わらず躊躇しながら、己の小指を立てて、絡ませようとした。
――と、その時。