第五章



沈黙するかと思いきや、ネロはそれをすぐに押し返すとルーティの両肩を掴んで。

「お前は戦士を辞めちゃいけない」

ただ、そう告げて。

何故、そんな分かったような口を利くのか……ルーティは中途半端な苛立ちが込み上げてきて、ネロを睨み付ける。

「ネロには分からないよ!」

肩を掴む手を払い除け、声を荒げて。

「僕を戦わせたくない一心で、記憶を故意に書き換えて……偽って。それでも戦士になった僕を、積極的に戦わせようとはしなかった! 僕は……本当は、皆に甘やかされて、守られていただけで」

ルーティは悔しさに顔を歪めながら。

「戦士になんか相応しくない、ただのお子ちゃまだったんだ……」

そして再び、ルーティの頬を涙が伝う。

雨に濡れていたせいで、それが涙だったかどうかはあやふやだったが……彼が今、泣きたい気分だというのは確かだった。

すると、茂みが蠢き、そこからローナとシフォンが現れて。体調の悪そうなネロを挟むように並び、腕に抱きつく。

続いて、現れたのはレッドだった。
 
 
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