第五章



間もなく、足音が聞こえてきて。

見れば、ルーティを探しているのかファルコンとオリマーが駆けてきて。先程、ルーティがいた場所で二人は立ち止まると。

「私は脇道を探してみる。ファルコンは真っ直ぐ行ってみてくれ」
「了解だ!」

そう話し合って、ファルコンは真っ直ぐ、オリマーはルーティが隠れている場所とは反対の方角に駆けていき。

足音が遠ざかり、ルーティは己の手を引いた人物を見遣る。……ネロだった。

「何か、あったんだな」

水が人一倍苦手であるネロは、雨に濡れたせいか顔色が悪かった。

ルーティは今更、無線が繋がったままだったことに気付くと、電源を切り、イヤホンを外しては無線機にぐるぐると巻いて。

押し付けるように、ネロに差し出す。

「……何のつもりだ?」

ネロは目を細めては見つめ、すぐにそれを受け取ろうとはしなかった。

ぐっと歯を食い縛り、ルーティは告げる。

「本当は、誰もが望んでいたことなんだ」

泣き出しそうになるのを堪えながら。

「僕は……戦士を辞める」
 
 
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