第四章



「……彼は。ラディスは、いつだって優しく接してくれたわ」

そう告げたのはピーチである。胸に手を当てながら、目を伏せ、懐かしそうに。

「だけど、彼は死んでしまった……世界を守る為に。だから、私達は彼の息子であるルーティが、仇であるマスターとクレイジーを倒す為、戦場へ赴くことを恐れた」


――思い出す、あの日の誓い。

例え、DX部隊が無くなったとしても戦士であることに変わりはない。ならば、全力を尽くそう。ラディス……君が最後に見た美しい世界が、変わってしまわぬように。


「だから私が、まだ幼かったルーティに催眠術をかけ、記憶を塗り替えた。父親の存在を残酷なものとし、DX部隊に関する情報は全て忘れさせて。……今、思うと」

ユウは最後、溜め息混じりに。

「情けない話だ」

と呟いて。

「本当なの?」とピチカはリムの元へ駆け寄っては寄り添い、服の裾を掴んでは不安げな瞳でじっと見上げる。

当時、DX部隊のメンバーだったリムだが、当然、この質問には答えられずに、

「ごめんなさい」

と一言。
 
 
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