第四章
「あ……っ、え……?」
ルーティは声を洩らして。――頭の中に流れ込んできたのが記憶だということに気付くのに、それほど時間はかからなかった。
大嫌いだった父親。
いつだって夜遊びに明け暮れては他の女を誑かし、才能が無いからと息子を貶し、幼馴染みのスピカばかりを可愛がった。
死んでしまえばいい。ずっと願っていた。
「何……こ、れ……っ」
最悪だった父親の像が崩れていく。
記憶が、塗り替えられていく。本当は優しくて、強くて、大好きだった父さん。
家族を誰より愛していた。いつだって家に帰るなり、自分の大切な仲間について話してくれた。優しく、笑いかけてくれた。
次の瞬間、場面は切り替わる。
皆が、泣いている。黒い衣服を身に纏い、幼き頃のリムが、ユウが……お母さんも、隣で泣いている。それは、悲しい儀式。
――そうか。父さんは……死んだんだ。