第四章



マスターはクレイジーの隣に並ぶと。

「こうしたら勝負にならないだろ」

そう告げて、小さく笑みを溢す。

すると、クレイジーは先程マスターが蹴られた箇所に口付けながら、「大丈夫?」と心配そうに声をかけて。

「大丈夫だ。……さて、と。ルーティ、お前には“ご褒美”をあげなくちゃな」

マスターはおもむろにルーティの額に手を翳す。――あの時のユウのように。

「何なんだっ!」

ルーティは顔を背けたりと抵抗しながら。

「僕の名前といい、父さんの名前といいっ……何で、何で知ってるんだ!」

マスターの右手がほんのりと青く灯り始める。ニヤリと口角を吊り上げ、囁いた。

「今に分かるさ。……」


――次の瞬間、ルーティは温かい何かが額から注がれて、身体中に染み渡っていくような、そんな、妙な感覚を味わった。

しかし、それは決して生易しいものではなく。思っていた以上に残酷で。
 
 
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