第四章
どうしてそういうことになったのか。
ルーティが訊ねるよりも先に、マスターは駆け出していた。――速い。が、所詮は右腕だけの少年。ルーティは油断していた。
「くっ」
あっという間に間合いを詰められ、伸びた右手が胸ぐらを掴む。ルーティは咄嗟に右腕を掴み、身体中から稲妻を放った。
しかし、次の瞬間にはそこにマスターの姿は無く、背後に回り込まれたかと思うと、背中に回し蹴りを仕掛けられて。
「あっ!」
避けきれず、蹴り飛ばされるルーティ。
地面の上を引き摺りながら数メートル程吹っ飛ばされるも、すぐに起き上がり、体勢を立て直す。次にルーティが構えた時には、マスターは駆け出していて。
「後方注意」
背後からクレイジーに囁かれたかと思うと、足払いを仕掛けられて。此方もあっさり足を払われ、後方に倒れかかるルーティ。
しかし、すかさずバク転の姿勢に切り替えては、受け身を取って着地、駆け出す。