第三章
そう言い切ると、ルーティはオレンジジュースを残らず飲み干して。
「二歳だろう? 記憶力がいいんだな」
スネークは、ルーティがどれだけ父親を嫌いかどうかより、二歳の割に鮮明に覚えていたということに驚いていた。
すると、ルーティは照れ臭そうに笑って。
「それって褒めてるの?」
感情の豊かな奴だ、とスネークは感心しつつ、頷いてはコーヒーを飲み干す。
「……そいつの名前は?」
空になったカップを小皿の上に置いて、上着のポケットから財布を取り出しながら、スネークはさりげなく訊ねる。
「えーと……ラディス・フォン、だっけ」
――何処かで聞いたような名前だ。
スネークには何となく思い当たる節があったのだが、結局は思い出せず、とりあえず会計を済ませようと立ち上がり。