第三章
「……ああもう。あんの馬鹿親父、今頃何処をほっつき歩いてんでしょーかねぇ?」
間もなく、返ってきたのは意外にも父親に対し、苛立ちに満ちた声。見れば、ルーティの頬には青筋が浮かび上がっており。
「嫌い、なのか?」
スネークが恐る恐る訊ねると。
「当たり前じゃん! 僕には才能が無いからって、幼馴染みのスピカばっかり可愛がるし……いつも他の女を誑かして、夜遊び酷いしギャンブル好きだし! 自分の父親だなんて認めたくもない! 最悪だ!」
ルーティがテーブルを平手で叩いて立ち上がり、大声で文句を並べるものだから一気に注目の的になってしまい。
スネークが咳払いをすると、ルーティははっと我に返り、慌てて椅子に座り直す。
「……僕がまだ二歳の頃に離婚して、それっきりなんだ。あの時は僕も幼かったけど、本当、あいつのせいで家は滅茶苦茶だった。もう二度と、会いたくない」