第三章
ルーティはぱあっと表情を明るくすると、メニューを手に取って開き、料理名を指差しながらウエイトレスに注文して。
思いの外、ルーティが遠慮をしないのでスネークは目を丸くして、瞬きを繰り返し。
「ありがとう、スネーク」
注文を終え、ウエイトレスが去った後でルーティは嬉しそうに肩を竦め、笑って。
「……希望はあるさ」
ぽつり、とスネークは告げた。
「試作段階のタブーだと言っただろう? 全てが上手くいったわけではないはずだ」
――可能性はある。
ダークピカチュウを“スピカ”と呼ぶと、何らかの反応を示すのは確かだ。本当の記憶はまだ、消えてないのかもしれない。
「お待たせ致しました。ご注文のチョコレートヴィッセ、ムース・ド・ガナッシュ、フランシスになります」
間もなくしてテーブルに運ばれてきたのは、どれも美味しそうなデザートばかり。
ルーティは瞳をきらきらと輝かせながら、ウエイトレスが頭を下げて立ち去ると、すかさず手を合わせ、「いただきます!」と告げればフォークを手に取って。