第三章



亜空軍の企てた新世界創造計画の中で対抗するべく立ち塞がった幾つもの部隊を叩き伏せた、二つの形態を持つロボット。その頭部には亜空間爆弾が仕込まれており戦いの中で道連れするべく起動──しかし作戦は失敗に終わり爆発によって跡形もなく失せたものと思われていたがまさかこんな形で再会を果たすとは。

いや。再会など有り得ない。前述の通り跡形もなく破壊されたのだからこのガレオムは同一のものではない。また新たに作り出されたのだ。

「……!」

此方を見下ろすガレオムはあからさまな敵意を赤目に宿して蒸気を噴き出す。

「マスター、クレイジー」

戦闘が避けられないのならやるしかない。

「ここは僕たちが」
「お前たちは下がっていろ」

ところが二人は此方の意に反して一歩前へ。

「きっ……危険だよ!」

ルーティは思わず声を上げる。

「僕たちも──」

言いかけて背後から肩を掴まれた。

「スピカ」
「いいから」

視線を投げかける。

「見てろって」

程なくしてガレオムはその拳を振り上げる。

反射的に飛び出しそうになるルーティを制するようにしてスピカは改めて肩を掴む。そうこうしている間に拳は風を切って振り下ろされた。地響き。舞い上がる砂塵。見渡せどマスターとクレイジーの姿は見当たらない。
 
 
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