第三章



……え?

案外あっさり此方の意見を受け入れてくれるものだから拍子抜けした。足手纏いだと言いたいわけではないが今現在神力を使えない彼らが先頭を歩くのはあまりにも危険すぎるのだ。敵は何処から奇襲を仕掛けてくるのか分からないのだしせめて自分が今歩いている二列目辺りを、

「証明すればいいのだろう」


……は?


「うわっ!」

物凄い風が吹き抜けた。踏み堪えなければ吹き飛ばされてしまうであろう強さの。ルーティが構えた腕を解くとマスターとクレイジーは既に駆け出していた。いやいや敵襲だったとしても落ち着いて冷静に行動しないのでは却って自分たちの居場所を知らせてしまうのではないか。

「ちょっと!」
「心配するなって」

呆れたような声が背中に投げられた。

「スピカは冷静すぎるんだよ!」
「我々も加えていただけますか?」

ダークファルコが笑う。

「追いかけるぞ」

そ、……揃いも揃って何なんだ……?


マスターとクレイジーの後を追うと大きく切り開かれた場所に出た。射し込む朝日に一瞬目を眩ませたが即座に前方の巨大な戦車の存在に気付く。それは目を見張らせている間に紫の光を各部位に走らせて、更に蒸気を噴き出しながらみるみる内に形態を変形させる。

「あれは!」

ルーティは思わず拳を握り締めた。

「……ガレオム!」
 
 
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