第三章
冷たく吐き捨てられる言葉こそ凶器だった。事実彼らの為に地位も名誉も捨てて作戦を立てて──それこそ命懸けで戦ったというのに結果は無慈悲な制裁。此方の訴えの全てを跳ね除けるその目は自分を冷たく見下すばかり。
彼らを慕う部下は終始口を閉ざしていた。先程ダークファルコの口から語られた通り逆らうという選択肢は存在しないのだろう。でなければ傍らの敬愛する人に手を下され兼ねないのだ。
迫る。刻一刻と。
このままじゃ──殺される。
自分がこちら側に加わっているその経緯や詳細など事細かに訴えかけるべきか。それとも隙を突いて電気を放出して不利な状態を脱するか。みっともなく叫び散らして延命を願うか。
父さんなら。……
「……分かった」
ゆっくりと息を吐き出して向き合う。
「それで。気が済むのなら」
父と重ねて告げた。体の細部にも力を入れず、まるで委ねるかのように。ただ真っ直ぐ見つめ返すルーティの姿はマスターの目にも心に思い描いた通りに映り込んだのだろう。
「クレイジー」
差す影が色濃く増して景色が暗転する。
程なくして周辺の木々から鳥達が飛び立った。