第二章



天空大都市レイアーゼから離れるだけで済む話なら未だしも──全国的に指名手配となると、何処の国も安全とは言えないな。特殊防衛部隊X部隊のリーダーとして広く情報が知れ渡っていることがここにきて裏目に出るとは。レイアーゼの外だからと安心してうっかり宿屋にでも入れば警笛を高らかに鳴らされそうである。

「朝から変な汗かいちゃったなあ」
「じゃあじゃあ水浴びでもしちゃいます?」

ダークゲムヲが提案して視線を遣った先には何とまあこれがご都合主義というものか水底まで透き通るような泉があった。

「ロボットも水浴びしちゃう?」
「故障させる気かよ」

首を傾げられダークロボットは眉を寄せながら返したがこれはいわゆるジョークといったものであって実際は故障しないはずである。多分。

「えーと。いいの?」
「今の内だろ。そう何度もこの先こんな機会が訪れるとも限らないだろうからな」

事態の決着は明日にでもつくかもしれない──はたまた一週間二週間と長引く可能性も。予測できるはずもないのだ。国の目的も古代兵器についても明らかになっていないというのに。

「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」

はにかんで肩を竦めるルーティにスピカは息をついて笑いかけた。
 
 
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