第二章



逃げ……、えっ?

その理由は間もなく明かされる。茂みの中から湧いて出るように現れていたプリムを容赦なく吹き飛ばす突風に此方が怯んでいる隙に金色の鎖が茂みの奥から飛び出した。すかさず剣を抜いたダークリンクが弾いてダークガノンドロフが闇の力を纏った拳で叩き落とし防衛。その隙ダークゲムヲとダークロボットがそれぞれクレイジーとマスターを抱きかかえて退路の確保。この期に及んで尚状況を呑めず足下に転がったプリムが足首を掴むのをルーティが唖然とした様子で見下ろしていると。

「ルー!」

手裏剣と呼ぶにはひと回りもふた回りも大きな青緑色のそれが気付いた時には目前に。鼻先を掠めるか掠めないかといった距離まで迫った頃ようやく敵の攻撃であると気付けばそれを引き金に全身に電撃が走り既の所で回避する。犠牲となった髪の毛がはらりと舞えば流石のルーティも事態を呑み込んで未だ足首にしがみついて離さないプリムを茂みに向かって蹴り払った。

「なに突っ立ってんだよ!」
「ご、ごめん。でも」

茂みの揺れる音に向き直る。

「みつけた」

程なくして現れる。

「……タブー!」


全体は薄紫色だが尻尾のように伸ばした襟足は毛先にかけて碧色に染まる。創造と破壊の力を受けた証ともいえよう赤と青の瞳がゆっくりとこちらを見据えては首を傾ける。

「ルー」

応えるように頷いた。一見して変わりはないが彼の話が確かであればタブーは国の連中の手に落ちているのだ。光の束がどうとか──いや。とにかくこんなにも早く見つかるとは思ってもみなかった。マスターとクレイジーとタブーはどんなに離れていても互いの場所を認識できるとまで読んでいたが自分らにとって不利に働く予想など願わくば砕かれてほしかったものだ。
 
 
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