第二章
がさ、と茂みが揺すられれば誰もが瞬時に目の色を変えてそちらを振り返った。屋敷に残した事情を知らない仲間たちには申し訳ないが少しずつでも状況を呑み込んでもらうしかない──まさか今更自分が悪事を働くものだと疑うはずもないだろう。自分だって彼らを信じている。
さて。飛び出すのは鬼か蛇か。息を呑んで目を凝らしていれば程なくして現れたのは見覚えのある生物だった。浅緑の制服に身を包んだ黒い皮膚に赤目の特徴的な亜空軍一般戦闘員。
「……プリム?」
ルーティは首を傾げると同時に構えを緩めた。確かに本来なら彼らは敵なのだが今回ばかりは自分も亜空軍の味方。脅威であるはずの彼らもこうして冷静に見てみるとまるでマスコットのように愛らしく映ってしまう。
「スピカ?」
小さく舌打ちが聞こえて振り返れば誰も苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「来やがったな」
「、え?」
緊張の糸が張り詰める。
「逃げるぞ!」