第二章
、え?──問い質す間もなくルーティ達は鉄の羽根によって拾い上げられる。酷く体を打ち付けて呻き声を上げたが本当にあのまま地面に到達してしまうよりはマシなのだろう。
「間に合いましたね」
アーウィンを操縦するダークファルコは笑う。
「先程は申し訳ありません」
一方で先に戦線を離脱していたダークウルフは並行して飛行するダークフォックスの操縦するアーウィンの羽根に乗っていた。忠誠心の高い彼にとって離脱は苦渋の選択だったのだろう。それが作戦を成功に運んだのは事実だとしても欲を言うなら引き返して戦況を返しつつ、共に離脱したかったのが本心。
「、リーダー?」
「どうしたんスか?」
執拗に最上階を睨み付けるスピカに怪訝そうな声を上げる。
「わざと見逃しやがった」
「え?」
「あのロックマンとかいう正義厨だよ」
スピカが不服に眉を寄せて視線を注ぐ先には確かに此方を見下ろす影があった。視点変わってロックマンは緩やかに飛行する二機の敵機を目に攻撃を下さない。彼が声を上げればそれこそ追撃の余地があったにも関わらず。
「ロックマン」
声掛ける司令官に振り向く。
「彼らは」
「逃げられました」
ロックマンはきっぱりと答えた。
「そうかね」
司令官もそれ以上の追及をする様子なく指示を待つ警備の男たちを振り返る。
「国を挙げて全力で捜索に当たれ! 何としてでもあの創造神と破壊神を見つけ出し、正義の鉄槌を下すのだ。──我々の未来のために!」
正義。未来。
「闇を見ているようだな」
ロックマンは小さく呟いた。
「大丈夫だったかい」
駆けつけてきたのはマークである。どうやら、撹乱の目的で残っていたダークシャドウも全て撤退した様子。無理矢理捻じ込んできたような理性的とは言い難い体勢だったが成る程確かに戦士さながら連携は取れていたようだ。
「逃げられたみたいだね」
「そうだな」
風が吹き抜ける。
「ロック?」
歩き出したロックマンに問いを投げかける。
「戻るのかい?」
「そう伝えておいてくれ」
影を差す。
「俺にはまだやることがあるからな。……」