第二章
スピカは凡その状況を説明する。警備の連中の大半は先に黙らせておいたということ。その間第四正義部隊の誰一人として遭遇しなかったということ。双子の捕らえられている最上階とは手の甲で軽く叩いて指した鉄製の扉の先にある螺旋階段を登った先にあるのだということ。
「罠は?」
「仕掛けられていない」
スピカは扉を睨み付ける。
「ただ──その確認をした時点で此方の存在は奴らにとって明確なものになったはずだ。今はこの先に足を踏み入れた人数によって発動する特殊な罠が仕掛けられている可能性も踏まえて進行を一時中断している」
賢明な判断だ。だがいつまでもそれを警戒してここで立ち往生するわけにもいかない。
「確かダークシャドウの人たちは影の中に入ることができるんだよね?」
「──外のヘリコプターは見たか?」
スピカは腕を組む。
「あのライトはただ侵入者を探し当てようっていうただの光じゃない。連中は俺たちを真正面から迎え討とうとお考えなのさ」
正々堂々。……彼らの考えそうなことだ。
…………ロックマン。
「、!」
鐘の音が不気味に鳴り響く。空気が震える。
「九の鐘ですね」
ダークファルコが時刻を告げる。
「彼らにとって僕の存在はイレギュラーだ」
ぽつりと。スピカが視線を向ければ発言の主は胸に手を置きながら真剣な表情で。
「──僕に考えがある」