第二章
「スピカ!」
何を言うよりも早く先手を取られて気付いた時には腕の中。潰されてしまいそうなくらい強く抱き締められたのでは振り翳した言葉も勢いを衰えて失せてしまう。
「、?」
スピカは肩に手を置いて押し返した。
「ずっと。考えていたんだ」
影を落としながら。
「あいつらを救う方法を」
語る。
「追い返すつもりだったんだ。お前を。俺たちだけでもやれるって」
苦しげに眉を顰めて紡ぐ。
「でも。何も思いつかなかった」
ただ押し黙って懺悔を聞く幼馴染みに。甘えて縋るようにその手を離せなくて。それが余りに不甲斐なくて崩れ落ちてしまいそうになる。
「ごめん……っごめん……」
光に身を焼かれて撤退を余儀なくされた。
あの日の敗北が頭から離れなくて。
「ありがとう。スピカ」
肩に置いた手に触れて返す。ふと顔を上げると穏やかな薄笑みを湛える彼が迎えた。
「大丈夫」
優しい声で繰り返す。
「やれるんだね? 僕がいれば」
はっとしたように目を開いたが迷わず頷いた。頷いて返すルーティに一部始終を見守っていた影の戦士たちも緊張の糸を解く。
「いこう、スピカ!」
「……ああ!」