第一章
薄笑みを浮かべる少年、ロックマンは第四正義部隊こと『フォーエス部隊』のリーダー。もうお気付きのことだろうがこのトーナメントは新しく正義部隊に所属する隊員との親睦を深める意味合いも兼ねて開かれたものなのである。
「ルルトも厳しいことを言うんじゃない」
ああ、流石リーダー。助け船──
「ただ君とは是非決勝戦で会いたかったな」
追い討ちだ!
「大丈夫ですか?」
床に倒れ伏せるルーティを膝に手をついて覗き込むようにしながら少女ブルーが訊ねる。
「放っておけ」
「慰めてくれてもいいんじゃないの」
「甘えたことを抜かすな」
冷たく切って捨てる狼のこの男こそルーティのパートナー、ウルフである。
マスターとクレイジーが率いる亜空軍が新世界創造計画の元猛威を振るい全世界を恐怖の渦に巻き込んだ亜空事件──ウルフもまた亜空軍に貢献する一員であったがX部隊に所属する予定だったならず者集団スターウルフのメンバー、パンサー・カルロッソが入隊が決まったにも関わらず何を思ったのやら半ば押し付けるような形でそれを辞退した為に代わりとしてX部隊に入隊。特殊防衛部隊の隊員として活動するその裏で亜空軍としての役割も果たすという何とも支離滅裂な事態に陥っていたのが懐かしい。
ストレス過多か元々の性格かパートナーであるルーティには冷たく辛辣な対応が目立っていた彼も今となっては良きパートナーだ。表立って好意を示すようなことは決して無いがそれでも以前と比べて言葉も態度も柔らかくなった。
微々たる変化かもしれないが。
「酷いよ、ウルフ……」
ルーティは小さく息を吐いて体を起こす。