エピローグ
今は昔に麗しき双子おりき。
黄金の御髪は美しく。光に透き通る白磁の肌。
されど暗き欲望は。
二つの宿世に引き裂きき。
光は昇り。闇は堕ちて。
双子は二度と会ふことはあらざりし──
「歌の続きを知ってる?」
大聖堂の横で本を広げて読み聞かせ、物語に準えた歌を聴かせていた女性は優しく微笑みかけた。
幾千の時を跨ぎて双子の再会せるほど。
神の施しが宿世の歯車を正す。
双子は心洗はれ救はれて。
とこしへに幸せに暮らしきとぞ──
「幸せな歌なのね!」
「よかったぁ!」
子ども達の安堵の声に自然と口元が緩む。
「何ニヤニヤしてやがる」
指摘を受ければどきりとした。
「し、してないよ!」
口ずさめば。指折り数える程の秒数で。
けれど僕は知っている。この物語の顛末は人一人が一生涯を終えるだけの時間では語れない。
これは気の遠くなるほどの遥か昔。
天空大都市レイアーゼが空にぽつりと存在する浮島だった頃。そこには見目麗しい双子の少年がいて。
「愛しているよ」
卑劣な思惑に運命を引き裂かれながら。
幾千年の苦難を経て。
「うん」
救いの時は──やって来る。
「ぼくも愛してるよ。……お兄様っ」
これは。
歌うには些細で。語るには壮大な。
長い長い慈しみの物語。……
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