エピローグ



◆エピローグ



人々の平穏を脅かし全世界を巻き込んだ壮絶な事件から数週間が経った。

と言っても世界が元の姿を取り戻したのはそれより前の話で──この数週間というのは様々な変化に気持ちの整理がついて本当の意味での日常を取り戻すまでに有した時間なのである。

これを時間が掛かったと見るか早かったと見るかは人それぞれだろうが今ではまた冗談を言って笑い合ったりと平和を謳歌する日々を送れているのだからひと段落といったところか。また何かきっかけがあって気持ちがぶり返したとしてももう大丈夫だろうとさえ思う。……あの日を乗り越えた僕らなら。


さて。気持ちの整理云々といえばこの世界が元の姿を取り戻すにあたって様々な記憶改変が行われた点についても触れておかなければ。


大きく分けて二つある。一つは司令官を筆頭に光の化身キーラを呼び起こす要因を作った人達の記憶。そしてもう一つは僕ルーティ・フォンを亜空軍に加担した叛逆者と認識した人々の記憶──マスターとクレイジーはこれらを全て消去デリートしてくれたのだ。

前者はともかく後者に関しては──そもそもの話が敵なのだから立場の弱くなる認識を無かったことにしたところで敵対する自分たちが不利になるだけだろうに慈悲にしては甘やかしが過ぎる。かといって突き詰めるつもりにもならなかったが代わりに「英雄の子」なんて認識が広がって見えたのはどうなんだろうか。僕としては……恥ずかしいんだけど……


そして。

忘れてはならないのが亜空軍の動きである。


まるで何かあったかのような切り出し方だがあれ以降不気味なくらい音沙汰がない。まぁ彼らも何か大きな事件が起こる都度力を大きく消耗してしまっているので今はまだその充電期間なのかもしれないが以前までと違うのはキーラとダーズの存在である。

彼らはどうやらマスターやクレイジーと違って神力を蓄える術がない上に全て使い切ってしまったおかげで今は事件の時と同じような力は出せないようだがそれでも洗脳に関しては別の話のようで。彼らの使役する光乃至ないし混沌と闇は尽きるものではなく常に自然界に存在するもの──マスターとクレイジーに管理されている身である彼らが二つ返事で妙な企みに加担しないものとも考えられない。


例えば。

新世界創造計画、とか。


「今っ」

そんな風に条件が積み重なっていれば嫌でも意識せざるを得ないわけで。ほんのプライベートで街中を歩いていたその時聞こえてきた会話に食ってかかる勢いで飛びついてしまいながら。

「新世界創造計画、って……!」
 
 
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