最終章



それまで座り込んでいたキーラはダーズと共に手を借りながら立ち上がると空を仰いだ。随所で景色が剥がれ落ちていくという異様な光景はまだ収まっていない──そんな中でキーラは胸の前で祈りを捧げるように指を組んで瞼を閉ざすと淡い光を宿しながらゆっくりと浮遊した。周囲が息を呑んで見守る中薄く瞼を開いて長い白睫毛の下から覗かせた双眸を空色に瞬かせた時変化は訪れる。


広大な海から。その向こうの大地から。

夥しい数の七色の光の玉及び思念体スピリットが浮上したかと思うと、まるで一つの龍のように螺旋を組みながら東雲色の空へゆっくりと登っていったのだ。


「大丈夫」

キーラは何を訊かれるよりも早く。

「此れは全ての願い」

その声は。

「在るべき場所と在るべき姿へ」

……不思議と。

「慈愛の光が導くだけ」


世界の端から端まで響き渡る──


「……!」

ルーティにも変化が訪れた。淡い光が灯ったかと思うと胸の中央から七色の光の球が抜け出て目の前で浮遊したのだ。キーラはその様子を優しく見つめて願いを込めるように瞼を伏せて力を込める。


そして。


「ぁ」

小さく目を開く。

「、……」

七色の光の球は徐々に人の形を象り、そして光だけを弾いてその姿を現す。ルーティはその相手と向き合うようにして立つとぽつりと呟いた。

「……父さん」


それは、きっと。

奇跡と呼ぶべき施しなのだろう。


「、あ」

ラディスはじっと見つめるルーティに手を伸ばし、その頬に指先から触れようとして。

「あはは」

現実に苦笑いする。

「……流石に触れないか」
 
 
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