最終章
「……ルーティ?」
完全に意識を手放していたわけではない。落ちるか落ちないかの境界線に意識があった。交わすべき言葉を交わしてからは特に何を話すでもなくやがて迎えるその時を身を寄せ合いながらひたすら無言で。
「なにしてるの」
ダーズはきょとんとして訊ねる。
「もう全部終わったんだよ」
そうだ。
「死んじゃうよ」
其れが私達の結末だ。
「違う」
ルーティはふたりの手首を掴みながら。
「君たちは……死なないし、死なせない」
叫ぶ。
「──生きるんだ!」
何を言って──
「そんなこと勝手に決めていいの?」
ダーズは更に質問を重ねる。
「ボクとお兄様は許されないことをした……お前が許しても他はどうかな。それって正しいのかな」
ああ……この薄汚れた鼠はそんな身勝手の為にその小さな体を擦り減らしたのか。
痛みも相当なものだろう。可哀想に──
「許せないし……正しくないことだと思う」
でも、と。ルーティは断続的に襲う痛みに歯を食い縛り息を切らしながら。
「君たちは生きて……罪を、償うんだ!」
あるはずのないものが体の内側で大きく脈打つ。
「辛いことも……苦しいことも!」
まるで。
「今度は"ふたりで"乗り越えるんだ!」
血が通うみたいに。
「その為に生きるんだ!」
熱くなる──
「だめだよ。ルーティ」
ダーズはぎこちなく笑いながら。
「力を使い切っちゃったの」
「大丈夫」
「もう間に合わないよ」
「大丈夫」
「死んじゃうよ」
ルーティは首を横に振る。
「僕が死なせない」
言い放つ。
「──信じて!」