最終章
光の化身と混沌と闇の化身──その正体は人の私利私欲に運命の歯車を狂わされた双子の兄弟だった。それが今。何千年もの時を跨いで互いの愛を確かめ合った末に空高くからゆっくりと落ちていく。
当然の報いだったのだろう。彼らはこの世界を巻き込んだ罪をその身を持って償う選択をしたのだ。
きっと。
この世界にまた平和が訪れる。
「よォ被虐モンスター」
双子の化身の最期たるその光景を目に焼き付けるようにして終始無言で凝視するリオンの横に立ったのは彼の偽の影のダークルカリオだった。
「何が視えてンだァ?」
「……お前には何も視えないのか」
一切の視線も寄越さないままリオンが質問を返せばダークルカリオは舌を打つ。
「視えねーよ。こンだけ離れてりゃァな」
そうか、とリオンは小さく返した後で。
「私は何も思わなかった」
訊ねられるよりも先に答える。
「害を為す存在だ。奴等にどれだけの事情があったとしても犯した罪は清算しなくてはならない。それを他の誰かに委ねるでもなく自分達の手で納得して選び取るのならこれ程美しい最期は無いだろう」
淡々とした文言にダークルカリオはほんの一瞬目を開いた後で「ほう」と感心したように洩らした。
「イイね。慈悲がない……俺は好きだぜ?」
「くふふふふっ」
怪しい声で笑ったのは知らぬ間にダークルカリオの腕を抱いていたダークミュウツーである。
「各々の感想を……述べるのは……本当の結末を見届けてからすべきだと思うよ……?」
違和感。
「くふふふ……くふっ……」
元凶は共に命を絶つ決断を下し同時に光に灼かれる未来も混沌と闇に呑まれる未来も違えた。パートナーと違って偽の影に大した未来が視通せるものとも思えないが探りを入れようにも隙間なく閉ざされたのでは不快感と同時に不安が生じる。
「ほら」
視線を刺すリオンを他所にダークミュウツーは頬に薄紅を浮かべて恍惚と目を細めながら。
「待望の幕引きだよ……くふ……ふふふっ……」