最終章
ああ。やっと……見つけた。
あの時キーラが僕の中で探り当てたものは何だったのだろう。そして何より小さく息を吐き出すように呟いた彼の声はダーズによく似ていた──
「おいッ!」
朧げだった意識が弾かれるように引き戻される。
「勝手に邪魔しておいて寝るつもりかよ!」
ご立腹の声に嫌でも目が覚める──ルーティが閉ざされかけていた瞼を眉を顰めながら持ち上げて視覚情報を正しく得るとそこはまさしく変わらず上空、大きく遅れて自分がクレイジーの肩に担がれているものと気付いた。ともなれば当然暴れるわけにもいかず小さく呻きながら頭を起こして状況を呑み込むべく辺りに目を配れば対峙の場面が目に入って。
「、キーラ……ダーズ……っ」
四対の羽根を前に夥しい数の触手が対抗する。
その間糸を縫うように高速で飛行して詰めるダーズの背後には黒の魔法陣が──対して距離を取るように後方に転々と瞬間転移するキーラの背後には白の魔法陣が展開しそれぞれから魔法の弾が放たれるも相殺して小規模の爆風を引き起こす。
その内にキーラの羽根の一枚がダーズの髪の端を切って落としたかと思うと今度は反対にダーズの触手の先端の紅い爪がキーラの服の裾を掠めて──ルーティは反射的にクレイジーの肩に手を置いて上体を起こし口をはくはくと動かす。
「馬鹿なこと考えんなよ」
そんなこと。
「僕たちの出る幕なんかないんだからな」
……言われても。
「ぁ」
神を模した古代兵器と成り損ない。
運命を分かたれた願いと呪いの産物。
彼らだって。人の身勝手な私利欲望に振り回されてきた被害者なのに──
「クレイジー」
次に意識を引き戻したのはマスターの声だった。
いつの間に側に居たものかと思えばどうやら空中に簡易的な硝子の足場を作り出したようでそこに下ろしてやれとのお達しにクレイジーも素直に従って。優しく下ろしてくれるはずもなく雑な解放に足場の上に不時着しつつルーティは体を起こす。
「!」
ふと何かに気付いたマスターとクレイジーが同時に振り返って視線を遣ればルーティも釣られた。
そして──目の当たりにする。