最終章
その声は。
やけに幼くて──寂しくて。
「!」
キーラの周囲に光の魔方陣が幾つも展開されたかと思うと目にも留まらぬ速さでワープスターに乗ったルーティ目掛けて長く尾を引く光線が放たれたが皆届くまでもなく個々に向けて瞬間的に配置されたであろう見えない壁によって相殺された。同じように攻撃を仕向けられたのは自分だけではなかったようでフォーエス部隊やX部隊、そしてダークシャドウも攻撃に逸早く気付いて構えを取ったが直前で消失した所以で呆気に取られていて。
──マスターだ。あの一瞬で魔力の消費が最小限で済むように狭域の防壁を展開して弾いたんだ!
そう思った時には彼本体もキーラを相手に仕掛けていた。いい加減に同じ遠隔魔法を得意とするスタイルだと気付いたのだろう、今度はマスターが積極的に光線を躱しながら距離を詰めたかと思うと二対の羽が交差するようにして追撃を仕掛けたタイミングで人型から巨大な白手袋の姿へと変化して攻撃そのものを弾きキーラに猛接近──双眸を紅く瞬かせたキーラが自身を丸い金色の光の球の中に閉じ込めて防御体勢に入ったがそこでもマスターはその巨大な体躯で容赦なく光の球を鷲掴み、力を込めて。
ひび割れる音。
ルーティが小さく声を洩らしたが直後それはあっさり割れた。しかしそこに本体の姿はなかったようでその事実に内心ほっとしつつも四方八方といったあらゆる方向から取り残されたマスター目掛けて黒々とした棘が突き刺さった時は青ざめた。しかし──串刺しになったように見えて触れる直前に先端部を"破壊"していたのだろう、巨大な白手袋の姿から再び人型に変化したマスターは全くの無傷で。
「クレイジー」
マスターは静かに名前を呼ぶ。
「ほんっと安直すぎ」
護るべく破壊を施したその弟は兄を横切ると眉間に皺を寄せて見るからに苛立ちながら。
「兄に手を出されたくないのはお前だけじゃないんだけど!?」
向かった先には案の定ダーズの姿──しかしながらクレイジー以上に情緒が安定しない様子で距離が詰まるとひゅっと息を吸い込んで自身の髪を掴んだ。その後何の脈絡もなく声高らかに笑い出す様にクレイジーは舌を打つとエネルギーピラーを構えて。
「殺す!? 殺すの!?」
「……そうだよ」
青筋を浮かべながら突き出す。
「そのまま死ねよクソ餓鬼が!」