最終章



──来る!

「ごめんルーティ!」

そう言ったが直後カービィはぱっと手を離した。当然墜落を余儀なくされるルーティだったが誰が思うよりも冷静で。遠ざかる景色の中でカービィがワープスターから降りて突撃する触手に対応を試みるのが見えた。その最中解放されたワープスターはその身を翻すように舞った後で急降下──落下するルーティを掬い上げ触手の追突を躱しながら上昇する。

「聞き分けの悪いヤツ!」
「頭が悪いってよく言われてたんだぁ」
「あんたらの自己満足に僕らを巻き込むなよ!」
「独りぼっちより皆一緒の方が楽しいよ?」

駄目だ。

「全部終わらせてあげるね?」

話が通じない──!


「終わるのはそっちだっつーの」


小さく目を開く。

「うぇ?」

刹那カービィに連撃を仕掛けていた触手もルーティを乗せたワープスターを打ち落とすべく追尾していた触手も余さずエネルギーピラーによって貫かれて消滅するのを目にダーズは声を洩らした。息つく間もなく攻撃を下したその主はダーズの背後に瞬間転移したが左手に握ったエネルギーピラーを突き出すより先に気配を察知して再び瞬間転移すれば元居た場所に光線が走り交差する。

「クレイジー!」

ルーティは思わず身を乗り出しながら声を上げた。

「何? 何もしないなんて言ってないけど?」
「でもっ!」
「もう分かっただろ」

攻撃を下したのはクレイジーだった。

「どれだけ言っても話なんて通じないんだよ」

それは、……ルーティは今度こそ何も言葉が出ないまま口を噤んだ。先程クレイジーによるダーズへの不意討ちを阻止するかのように光線を仕掛けたキーラは一切此方には目もくれずいつの間に参じていたマスターと対峙しているようで。

「創造神マスターハンド」
「破壊神クレイジーハンド」

キーラとダーズは口々に対抗する相手の名を呼ぶ。

「これはこれは。如何されたかな」
「自分の立場を分かっていないようだな」
「えへへ。遊びたいの?」
「だからそういうの終わりだっつってんだろ」

一触即発の殺伐とした空気感。掛け合いが途切れて時が止まったかのような感覚に襲われる。音の途絶えたこの世界の中で誰もが口を噤み息を殺した。


きっともう。

始まってしまえば止められない。


「ま、」


伸ばした手が。

虚しく空を彷徨ったが直後。


「ごめんね」
 
 
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