最終章
凄いな、と。他人事ながらにそう思った。
宣言した通りキーラとダーズから一番近い位置に足場を作り出したロックマン率いるフォーエス部隊は大きく声を張り上げて掛け合いながら着実に彼らの戦力を削ぎ落とさんと立ち回っている。ルーティは暫し見惚れていたが意を決したように拳を握った。
僕も。行かなきゃ。
「──ルーティ!」
声を上げたのはフォックスだった。
振り返った時には遅く──いや既の所だったか。兎角自分を庇うようにして何かの攻撃を六角形の反射板を展開させた上で腕を交差させながら受け止める彼の後ろから覗いてみればどきりとした。
「え……!?」
なんとフォックスは自分自身と戦って──いや。
自分と瓜二つの姿形を模ったその相手と交えていたのだ。もちろんダークシャドウではない──背丈も何もそっくり見分けが付かないように見えて問題の相手の姿は全身が仄かに発光した空色に塗りたくられた上で両眼に該当する位置で紅蓮が不気味に浮かび上がっていた。状況を説明する暇もないようでフォックスは踏み込んで押し返すと体勢を崩したその相手に立ち向かっていく。
ルーティがまさかと辺りを見回せば──予想通りの展開。今の奇襲を皮切りに各所で同様の事態が起こっていたようで具体的に説明する間もなくX部隊メンバーのそれぞれが自身の姿形をした空色に塗りたくられたそれと激しい攻防を余儀なくされていた。加勢するべく踏み込んだルーティだったが阻むようにして後ろから肩を叩かれる。
「カービィ、」
「構ってる場合じゃないでしょ」
自分たちにはそれらしき存在が見当たらなかったことからあれはキーラ或いはダーズがそれぞれを捕らえた際に母体を元に生み出した、いわゆる"コピーファイター"なのだろう。まさかこのタイミングで立ちはだかるものだとは思いもしなかったがカービィが指摘した通り、無限に湧いて出る可能性のあるあれらを構っていられるような余裕はない。
「行ってくれ! ルーティ!」
フォックスは汗を滲ませ対抗しながら叫ぶ。
「俺たちに構うな!」
私達は。
神様より貴方の方がずっと信じられる。
「……うん!」
僕も信じなきゃ──どうしようもない僕の我が儘の為に戦ってくれている大切な仲間達のことを!
「飛ばしていくよ!」
そう言ったカービィの側にはいつの間にかワープスターが待ち構えていた。そうして意を決したように頷いて応えて飛び乗ったが直後あることに気付く。
「あれ」
その姿はいくら見渡せど見当たらない。
「……ウルフは?」