第十三章
死──!?
「クレイジー」
緊張が走る中その空気感に見兼ねたマスターが一声呼ぶと当人ならぬ当神はばつが悪そうな顔をして。
「……冗談だってば」
クレシスは元々ボルテッカーが使えなかった。
にも関わらず今回のようにこうしてボルテッカーを使うことが出来たのは過去とある研究所に囚われていた際に杜撰な実験や違法性のある薬によって体を弄られてしまっていたからである。その為威力も通常のボルテッカーより遥かに強力だが相応の代償はあるようで──故にこうしてクレイジーの足下に横たわったまま一向に目を覚まさないでいるらしい。
「どうでもよくない?」
なんて吐き捨てたが視線を浴びれば、
「よくないですね。ハイハイ」
クレイジーは気怠そうに撤回して溜め息。
とてもさっきまでダーズの洗脳に苦しめられていたとは思えない。ラディスは打って変わっていつもの調子の彼に苦笑を零しつつも肝心のその人を見た。
「息はあるようだな」
「わ、我々に出来ることはっ」
「直に目覚める」
終始冷静なマスターに耐え兼ねたように。
「具体的には──!」
食ってかかるダークウルフだったが。
「……ん」
ほんの小さく呻く声。
「え」
「直にと言っただろう」
……ここは。
「り、ぁ」
薄目を開くその人の傍らに片膝を付いて。
「おと」
急ぎ抱き起こしながら。
「お義父さん……っ!」
「……は」
ダークウルフが顔を覗き込めば。
「何……言ってんだ? お前……」
あれ?
「……リーダー?」
ダークウルフはきょとんとする。
「ん、……あれ」
短く応えた後でその人は辺りを見回しながら。
「……ピチカは……?」
リーダー。
「り、」
差す影に加えて雫がぽつり。
「リィィィダァァァアアッ!」
「うぉわああぁあっ!?」
「ふぎゃー!?」