第十三章
握られた手のひらが。
暖かくて。……懐かしくて。
「また、お前か」
呆れたように溜め息混じりにそうぼやきながらもそうして捕まえられた手を一向に振り払おうとしないマスターにラディスは小さく笑って。
「また俺だよ」
今度は。
生きて戻ってくることができた──
「……状況は」
ラディスが腕を引けばマスターはそれに倣って体を起こしながら訊ねた。
「見ての通りだよ」
「そうか」
大きく吹き飛ばされ散り散りになりながらも大きな外傷はなく一先ずの状況を讃え合う戦士たち。地上での激戦など知る由もなく己が使役する光と闇を火花を散らせて交える二対の神々──マスターは順に目配せをしたところで瞼を伏せる。
「お前たちにしてはよくやった」
薄ら開く。
「だが」
言いかけた言葉にラディスは首を傾げる。
「起こすのが遅いんだよッ!」
この声は。
「言い付けておいたよねぇ? 変な貸しは作りたくないから有事の時はお前らだけで何とかしろって」
「も、申し訳ありません……っ!」
ほんの少し離れた場所で激怒するクレイジーに頭を下げて謝っていたのはダークウルフだった。その他ダークシャドウも主君の覚醒に駆け付けてはいたようだったが叱咤するクレイジーにまた始まったなとばかりの反応で然程敬意は窺えない。
「ったく。ほんとお前らときたら本物以下で愚図で鈍間でどーしようもないんだから」
……あれでよく見限られないな。
「く、クレイジー様」
ラディスが遠目にある種の感心を抱いていると。
「その……リーダー、……じゃない……あの、」
何やらその名を呼びにくそうにしている様子のダークウルフにクレイジーは訴えを汲み取って先程から足下に横たわっている影を見下す。
「あぁ、これ?」
クレイジーは嫌なものを見るかのような目で。
「死んだんじゃないの?」