第十三章
紫苑の光が尾を引いて目まぐるしい速度で標的に向かって真っ直ぐ、迷いなく。まるで恐竜のような声を上げて透明な糸を引きながら口を開けば鮫の歯のような鋭く尖った歯が規則正しく並んでいて。
「──!」
振り下ろした両手によって見えない壁が叩き付けられたが直後先程より確かなひび割れる音──好機を見逃さずマークが魔法を切らせて振り向いた先。
「……ロック!」
陣営の要が正義の鉄槌を下す──
「ったく。急かしやがって」
まるで示しを合わせたかのように纏う電光が金色に変化を遂げれば金色と銀色の竜巻が強風に煽られたかのように掻き消えた。そのタイミングで割れた硝子が崩れるような繊細な音が響き渡ればクレシスは感心したように笑ってラディスと視線を交わす。
「……行くぞ!」
「ああ!」
ぐんと速度を増して方向転換。
チャンスはこの一度だけ。
「……不思議な感覚だ」
ラディスは呟く。
「もうあの日は過去であって今ではないのに」
灰色の記憶がフラッシュバックする。
「嬉しいのに──切ないよ」
きっと、これは。
あの日の皆が最も望んだ瞬間だ──
「テメェの失敗があったから今がある」
クレシスは応える。
「それとも──今度もまた失敗するつもりか?」
確信を突かれたように目を開いた後で。
ラディスは思わず笑みを零す。
「……まさか!」
俺たちは。今度こそ。
「手加減なんざするなよ!」
クレシスは力強く地面を踏み込む。
「──クソガキ共の目を醒まさせてやれ!」