第十三章
蝙蝠の翼を広げた計四つの影がマスターとクレイジーそれぞれを大きく縁を描くように高速で飛行し、金と銀の竜巻を巻き起こす──その影の正体の一人であるメタナイトは地上の仲間たちに向かって翼を大きく羽ばたかせながら声を上げた。
「長くは持たない! 一気に決めるんだ!」
一時的なものではあるがそうすることでラディスとクレシスに先程のような攻撃が及ばないよう双子の視界を遮るという作戦だった。メタナイトが目配せをすればメタナイトの能力をコピーしていたカービィは剣を振るい地上へ。続けざまダークメタナイトとダークメタナイトの能力をコピーしていたダークカービィは急降下して自身の仲間の影の中へ。
「ッ……くそ……!」
咳き込むダークシャドウが数名──無理もない太陽をも上回る輝きを放つ光の化身が存在する中で長時間活動しているのだ。その内の一人であるダークウルフは手の甲で荒く口元を拭うと改めて両腕を突き出し足下の影を標的に向けて伸ばしながら。
「マスター様……クレイジー様……ッ!」
展開された複数の魔方陣の中央から放たれる大小様々な武器を両手を翳したピーチが薄桃色な光を放つ魔法によって動きを制し、それをサムスが構えた銃から電気を帯びた弾を放って撃ち落とす。次いで飛び出したドンキーとディディーがマスターを挟み込むように両側から拳と蹴りを繰り出したがその両方が防壁によって容易く防がれて。
「兄ちゃん!」
黒の粒子が形成した大剣と剣を交える中でリンクの背後に先程放たれた武器の一つを見つけたのだろうそう叫んで飛び出したのはトゥーンだった。呼び掛けに気付いたリンクが振り向いて対処するより早く彼の持つ夢幻の剣はその武器を両断し鎮圧する。
「頑張りすぎんなよ!」
トゥーンは剣を構えながら。
「俺だって──勇者なんだからっ!」
視界の端で剣を打ち込み対処する二人を目に小さく鼻で笑って標的たるマスターに向き直る男が一人。
「ガノンドロフ。何をニヤニヤしておるのだ」
クッパが眉を顰めた。
「いや」
握った拳に紫のオーラを滾らせながら。
「よい風を感じただけだ」
俺たちは、負けない。
「デデさんっ!」
「お願いします!」
負けるわけには──いかない。
「はっ!」
"この世界"を取り戻すために。
かけがえのない仲間と日常を過ごすために。
「──フォックス!」
繰り出した蹴りをお馴染みの防壁によって防がれたファルコがパートナーの名前を叫べば。
「任せてくれ!」
その背を飛び越えた影が気迫の声を上げながら。
「はああぁあああッ!」