第十三章
それぞれから波紋状に放たれる赤紫色の波動──触れれば一溜まりもないということはこれまでの経験から一目瞭然で。回避を臨んだところで執拗に打ち出されるであろうそれを鎮める方法は一つしかないと察した魔法の扱いに長ける面々が誰より一歩前に進み出ればそうでない面々は大人しく委ねた。迫り来る波動に対し少しばかり力技ではあるものの各々得意な魔法を打ち出して対抗を図る。
「トロン!」
「ボルガノン!」
雷や炎といった魔法の数々は波動を受け止めたが尚足りない。打ち負かされる可能性を懸念してその後押しをするべくレッドとブルーは顔を見合わせ頷き合うと手を薙ぎ差し向けて命令を下す。
「リザードン! フシギバナ! カメックス!」
「いくぞ!──
名前を呼ばれたそれぞれのポケモンに加えて命令を聞き届けたネロ、シフォン、ローナが前に進み出て得意技を放つのと同時にレッドの傍らに駆け付けたピカチュウが鳴き声を上げて電撃を放った。その様子を見ていたネスとリュカも互いに顔を見合わせて小さく頷き、手を繋いで瞼を閉じる。
「PK……」
唱えて瞼を開き──叫ぶ。
「──スターストーム!」
天空に幾つもの煌めきが灯れば降り注ぐ。
流星の群れが波動を迎え討つ。
「ぬおおおおおッ!」
「うぅぅ……!」
灼熱の炎を見舞うクッパとジュニア。対抗手段を持っていないからといって傍観するだけという選択肢などない皆が打ち勝つべく支え合っている。
「……!」
だがしかし。
ユウの脳裏に次なる未来が映り込む。
「気付かれた!」
その発言だけで全てを察する。
「ラディスッ、クレシスッ!」
大きく円を描くようにして力走していたラディスとクレシスはユウの声に怪訝そうに視線を向けた──その直後。地響きが足を伝って。
「なっ」
思わずバランスを崩して足を縺れさせそうになるラディスに気付いたクレシスが咄嗟の判断で力の限り突き飛ばした。突き飛ばされたからといってそのまま転倒することもなくクレシスから大きく離れる形になりながらも走り続けるラディスが次の瞬間目にしたのはクレシスを追尾するようにして頭上と足下それぞれに浮かび上がる青と赤の魔方陣。
……そう。それが。
双子の仕掛けた遠隔魔法だと気付いた時には遅く。
「お父さんっ!」
声を上げるピチカに続けてラディスが叫んだ。
「クレシス──ッ!」