第十三章



マスターとクレイジー、それぞれの隻眼が暗く鋭く瞬けば何処からともなく影よりも濃い漆黒の粒子が溢れ出し彼らを渦巻くように囲った。その内に黒の粒子が長く尾を引きながら双子の頭上で何かを形成し始めたがすかさずシラヌイとモウカが構えた光線銃を放ち、繋ぎ目を破ることに成功する。

だがしかしそれは恐らく彼らにとっては予定調和というもので──千切られた黒の粒子は幾つかの塊に分断されたかと思うと大剣を模った。見覚えのある形態に逸早くこの後の展開と危機を察知して迷わず飛び出すマルスに有無を言わさずロイが続けば直前まで横で構えていたアイクとリンクも悟る。視線を送りメタナイトからの承諾を得て駆け出した計五人の剣士が剣を振るったタイミングは正しく空間転移した大剣による一振りを既の所で受け止めた──が、受け止めただけである。五人は眉を寄せる。

「お待たせっ!」


だけど。

あの時とは状況が違う。


「……ピット!」

程なく神弓を割って双剣の形態で参じたピットがその勢いのままにロイに加勢した。次いでマルスにはルキナ、アイクにはクロム、リンクにはイレブンが付いて剣で加勢──遅れてコピーした剣を片手にメタナイトの元へ参じたカービィが横並びとなり大剣目掛けて剣を交える。メタナイトはほくそ笑んだ。

「ブラピ!」

ピットが声を上げればその遥か後方。

構えた狙杖の銃口が煌めく。

「──貫けッ!」


防御の術を着実に減らしている。例えるなら装甲を剥ぐように──ラディスはクレシスと顔を見合わせると互いの拳をぶつけて駆け出した。元の体であれば話は違ったのかもしれないがこの体である以上は最後の切り札ボルテッカーの発動にはどうしても時間を有してしまう。ただ立ち止まっているのでは電流が体内を巡らず発動までには至らない──その為の、力走。

「……よし!」

その一方でブラピの狙杖による攻撃が功を期したのか黒の粒子によって形成された大剣は強度が下がり結果として剣士達の剣に打ち負かされた。残留する黒の粒子の渦は次に何か行動を起こすよりも早くデイジーとロゼッタの魔法で起こした強風によって弾き飛ばされ盤面は振り出しに、再びその姿を晒すこととなったマスターとクレイジーは息つく間もなく隻眼をそれぞれ紅く蒼く染め上げる。

「来るよ、皆!」

未来視により危機を察知したのであろうシュルクが声を上げれば皆が構えた。途端空気が重く変化して確かめる間もなく双子の攻撃は打ち出される。

「────────ッ!」
 
 
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