第十三章
標的──創造神マスターハンド、並びに破壊神クレイジーハンド。
此方の思惑を悟られないよう適当な攻撃を振りながら作戦の実行に向けて移動する面々だったが双子には相変わらず掠めもしなかった。そんな中で極々自然な流れで先陣を切る役目を任されることとなったゼルダは位置についていく仲間たちの幾つかの目配せを受けて小さく頷き自身を落ち着けるように胸に手を置きながら密かに息を吐き出す。……
「緊張しますか?」
この状況に見合わない悲鳴を上げるところだった。
「ぱ……パルテナさん」
自分としたことが投げかけられた言葉の通り息すら詰まる緊張感に揉まれて集中するあまり同じように先陣を切る役目であった彼女の存在にそうして声をかけられるまで気付かなかったのだ。
「からかってなどいませんよ」
ゼルダが謝るよりも先に。
「その気持ちは痛い程に分かります」
憂いを帯びた表情で。
「──別の事を考えましょうか!」
かと思えば打って変わったように表情を明るく変化させて人差し指を立てながら。
「美味しいクレープ屋さんが出来たんですよ」
「……えっ?」
「興味ありませんか?」
ゼルダは目を丸くする。
「今なら選べるトッピングが三つまでゼロ円!」
「い……行ってみたいです!」
「その調子です」
食べ物に釣られて思わず食い気味に答えたところで返ってきた言葉と優しい微笑みにゼルダはようやく彼女の意図に気付いてハッと息を呑む。
「もっと肩の力を抜いたっていいんですよ?」
「、……でも」
ゼルダは顔を俯かせる。
「──私たちは正義のヒーローだわ」
その少女は腰に手を当てながら。
「如何なる時も強く逞しく。弱きに手を差し伸べて安心させるべく笑いかけるのが私たち」
ルルトは語る。
「自信を持ちなさい! 私たちは確かにこの世界の為に戦っていて間違ってなどいないのだから!」
微風が髪や頬を撫ぜる。
「なれば──顔を曇らせる必要などないのだわ」
「ルルトさん……」
ゼルダは呆気に取られたように呟く。
「後。そのキャンペーンは明日までよ」
「ええっ!?」
「じゃあ早めに終わらせないといけませんね」
当たり前に巡る日常の為に。
「……はいっ!」