第十三章
要となる一人を除いた他全員が標的を相手に同じタイミングであらゆる角度から隙間なく一斉攻撃を放つ──その作戦をマスターとクレイジーのふたり相手に同時に行うともなれば当然タイミングも遥かに難しくなってくることだろう。……
「どうするんだよ」
「まずは作戦の共有だ」
ラディスは混戦の中である人物を目で探した。
「……見つけた!」
そして、駆け出す。
「ユウ!」
一人一人に作戦の内容を伝えて回る時間はない──けれどそれを一気に熟す方法がある。
それが。──
「うわあっ!?」
走る最中すぐ後ろに連続して光で模した槍が地面に向かって突き刺さるという歓迎を受けながらラディスは念力を使って攻撃の軌道をずらして対処していたユウの横に飛び込むような形で何とか辿り着く。ラディスは直ぐさま体を起こすと、
「ユウ──力を貸してくれ!」
爆撃による爆風に髪や衣服が煽られる中ユウは終始無言で且つ冷静に対処にあたっている。
「……ユウ!」
ラディスがもう一度名前を呼べば。
「聞こえている」
飛んできた攻撃を念力で往なした上で、ユウは一切視線を向けないまま。
「それで貴様はまた戦場にのこのこと帰ってきて、無様に死にに行くのか」
……冷たく、鋭く。
「違う」
ラディスは眉を寄せながら訴えかける。
「作戦を思いついたんだ! これならあのふたりを止められる」
「誰が止めるんだ」
「皆で──」
「その作戦の要は誰が担う」
ユウは飛んできた攻撃を透明な壁で防ぎながら。
「また、お前か」
遠い日の記憶がフラッシュバックする。
「二度も同じ轍は踏ませない」
「でもっ……この体は」
「息子の体だから大事に扱うか?」
終始冷めきっているようで何処か寂しくて。
「それをまた"信じろ"と言うのか?」
苦しくて。
「ユウ……っ!」
確かに自分はあの時仲間たちに優しい声色で気丈に振る舞っておいて裏切るような真似をした──その末路を深い傷として刻み付けておいて似たような行為を繰り返そうとしているこの現状はあまりに虫が良すぎる。何も言い返せないまま、ただ名前を繰り返すだけのラディスを構うはずもなくユウは攻撃対象である数十メートル先にいるマスターに向かって手を翳すと双眸を金色に染めて。
「下がれ」
念力を発動する。
「もう──私に話しかけるな」