第十三章



音を置いていくような──圧倒的速さで。

「ラディスっ」

振り返った時には。


「はああぁああああッ!」


青の閃光を纏いながら──全速力で。右腕を構えた姿勢のまま攻撃を放った直後で動けないでいるロックマンに目前にまで迫ったクレイジーの攻撃が降りかかるより先に横からその体を掬い上げて地面に飛び込む。結果として攻撃は回避した──ラディスは大きく息を上げながら不可抗力とはいえ覆い被さる形となったロックマンを見下ろす。

「だっ……大丈夫かい……?」
「ルーティ、……いや」

ロックマンは眉を下げて微笑しながら。

「ありがとうございます。……英雄殿」


英雄、……


「いやぁ……」
「照れてんじゃねーよ」

脳天直下の手刀制裁。

「あだぁっ!?」
「で。さっきのは?」

たん瘤を抱えて横で蹲るラディスを差し置いてクレシスはロックマンを引っ張り起こす。

「『AL-R』」

ロックマンは答える。

「あれか」
「え?」
「面倒くせーヤツだな何となく分かンだろ」

ラディスは頭上に疑問符。

「『AL-R』は"Readerリーダー"である自分を除いた隊員全員が同じタイミングであらゆる角度から隙間なく一斉攻撃を放つ作戦の名称です」

ロックマンはそう答えながら数十メートル先で佇むクレイジーを見据える。

「……今の攻撃で鎮圧する予定だったのですが」
「惜しかったよ」

でも、と。

ラディスは続ける。

「彼らは互いが見えていなくても視えている」


過去の記憶が。

苦々しくフラッシュバックする。


「どれだけ離れていても妨げがあっても──クレイジーが致命傷を負えばマスターが創造の力を使って修復するし、その逆の事態が起こったとしても今度はクレイジーが破壊の力を使って死に直結するあらゆる可能性フラグを破壊する形で無理矢理延命させる」

ロックマンは「成る程」と呟いて。

「……盲点でした」
「いいや」

ラディスは首を横に振る。

「君たちの作戦は理に適っている」


勝算はある。

そう。……この人数なら!


「今の君たちの作戦をもう一度。今度はマスターとクレイジーその両方に対して同時に行う」

ロックマンは目を丸くする。

「大丈夫」

ラディスは振り向きざまに笑み。

「……必ず勝とう!」
 
 
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