第十三章
次の瞬間。
黒煙は一陣の風により弾き飛ばされて。
「!」
全長五メートルはあるであろう光で生成された拳が正面から飛んできたがドンキーはこれを自身の拳を思いきり引いた後に突き出し正面衝突──煙を噴き上げながらぎりぎりと押し合った後に気迫の入った雄叫びと共に力強く踏み込んで相殺した。呆気に取られるラディスだったがだからといって攻撃の手が休まるはずもなく見計らったかのようにマスターの後方に展開された複数の魔方陣の中心から幾つもの光の矢が発射されれば直ぐさま硬直を解かれて。
「くっ」
低姿勢で駆けながら回避したそのすぐ後方に容赦なく矢が突き刺さっていく様子を尻目に捉えれば冷や汗を滲ませながら加速──踵を返すように不意打ちのつもりで立ち向かったがマスターが右手を差し向ければ馴染みのある青白い閃光が鳴き声を上げて襲いかかってくるのだからラディスもやむを得ず回避に徹した。視界に捉えられている以上は正面突破を試みたところで強制コマンドの餌食となる。
「息、上がってんじゃねーのか?」
そうして回避した先で偶然背中合わせに並んだのはクレシスだった。
「あはは。少しだけかな」
「違えねえ」
ラディスの返答にクレシスは笑う。
「全く……若いってのはいいな?」
自身の息子であるルーティの体を借りたラディスと同じく息子のスピカの体を借りたクレシス──この先もずっと使わせてもらおうなんてつもりはないが自分たちが特殊防衛部隊『DX部隊』として前線を張っていた時期と比べても遥かに動きやすい。
キーラの猛攻によって
「いけるか? ラディス」
差し出された拳に拳を打って応える。
「ああ!」
……とはいえ。
このままでは埒が明かない──
「っ、動きを止める必要がありそうだね」
光弾を剣で弾いた後でマルスは呟く。
「それは……分かって、います……」
ダークロイは肩を竦ませながら。
「……でも……マスター様も、クレイジー様も……全然、捕まらなくて……」
ダークシャドウの繰り出す影は紛うことなく優秀で何度か足止めには成功しているのだがだからといって決定打にはなっていない。何より相手はあの創造神マスターハンドと破壊神クレイジーハンド──如何なる攻撃も簡単には寄せ付けないどころか後一歩というところまで狭まってもそれぞれが得意とする防御或いは攻撃によって無効化してしまう……
「ロック」
魔導書を閉じた後でマークが振り返れば。
「……"あれ"を使うか」