第十二章
問題があるとすれば──上空で戦う彼らの元へどうやって駆け付けるかである。
「あんた達考えなしに突っ込もうとしてない?」
そんな声が聞こえてルーティとラディスが振り返るとそこにはカービィの姿があった。コピー能力は解除しているようだが鎮めた剣を武器としているのか肩に担いでいる。
「抱えていってくれるのかい?」
「馬鹿言わないでよ。落ちたらどうすんのさ」
カービィは溜め息を吐いた後で剣を下ろすと指をぱちんと鳴らした。次の瞬間──何処からともなく星の煌めきを表現したようなファンシーな音が迫ってきたかと思うと一陣の風が吹き抜けて。思わず目を瞑ってしまったルーティが恐る恐る瞼を開いてみるとそこには黄色い星型の──文字通り星そのものが意思を持った生き物かのようにカービィに寄り添いその表面を撫でられていたのだ。
「ワープスター?」
「そ。忘れてたっしょ」
カービィがぽんと軽く叩けばワープスターはふわりと飛び上がり彼の周りを複数回、円を描くように飛んだ後にその表面を地面と平行にしてルーティの足下で静止……どうやら此方が乗りやすいように調節してくれたようでカービィが顎でしゃくって促すのに甘えてルーティは不慣れながらもワープスターの上に両手を添えて意を決して飛び乗る。
「相変わらず無茶なことばかり考えるよね」
続けざまルーティの前にラディスが飛び乗ればカービィはやれやれと息を吐く。
「今ここにいる皆が味方なんだから」
そこまで言ったところで口角を持ち上げて。
「……ちゃんと頼ってよね!」
ワープスターを手のひらで叩けば。
「うわぁっ!?」
急発進──ワープスターは此方が向かい風だの重力だのに負けそうになりながらも必死でしがみついていることなど気にも留めずぐんぐん上昇していく。そんな二人が運ばれていくのをカービィは再び剣を肩に担ぎながら息をついて。
「さて」
戦場を振り返る。
「僕たちも頑張らなくっちゃね」