第十二章
──クレシス・リー!?
「隊長!」
被弾による爆風を避けながら駆け付けてきたのはミカゲだった。要所要所に擦り傷のようなものを負っているのは事態を察して戦線を無理に離脱してきたからなのだろう。
「
ルフレはすかさず振り返って睨み付ける。
「変なことを言って撹乱させないで!」
「……聞こう」
「隊長!」と納得のいかない様子で声を上げるルフレをロックマンが腕を差し出し留める中でミカゲはその正面に跪いて頭を垂れる。
「嘘偽り等では御座らぬ──
ロックマンはちらっと少年を見遣った。
「り、……っっ!」
思わず呼びかけた言葉を呑み込んで駆け付けたダークウルフが遂に膝から崩れ落ちた少年の身を懸命に案じている。今更血に濡れることを構うはずもなく少年の手から仕込みナイフ付きの拳銃を奪うと引き抜くと同時に放り捨てて。
「テメーらも……だぞ……」
ぐったりとしながら少年は言葉を繋ぐ。
「フォーエス部隊に、協力しろ……」
選ぶべきは。
「うげっ!」
ダークフォックスが声を上げた。
「騒がしい人ですね」
「いやいや!」
呆れたように視線を遣るダークファルコに手を振り断って上空を見ろとばかりに示す。
「あれだよあれ! やべーんじゃねえの!?」
そうして視線を上げた先。
「……あれは」
紅蓮の炎が如く赤々と燃ゆる双眸を瞬かせて。
光の化身キーラを護るようにして煌めきを魅せながら展開された四対の羽根の周囲にまるで灯りを点すかの如く白い光の球が生成される。双神を相手に奮闘していたX部隊の面々もこの変化に気付かないはずもなく、神々がたかだか人間の無駄な足掻きなど眼中にないことをいいことに手を止め足を止めた。
いや、……それより。それよりもだ。
「まさか」
あれに覚えがないはずがない。
色濃く鮮明に記憶に残るあの予備動作は。
この世界を一瞬にして呑み込んだ──
「全員ッ」
事態に気付き焦るダークウルフの声を遮るように。
「──