第十二章
エネルギー砲が──放たれる。
「ま……待って!」
ダークフォックスは小さく笑って腰に取り付けられていた小型の装置を弾くと青白い光の放つ六角形の反射板を展開して悠々と攻撃を防ぐ──その一方で気迫の籠った声を上げながら深く踏み込んだと同時にダークリンクの剣を押し返して薙ぎ払うルキナにルーティは身を乗り出す勢いで声を上げた。
「ダークシャドウは、味方で──!」
「くははッ!」
ダークリンクがせせら笑う。
「誰の味方だって?」
金属音──ぎりぎりと押し合いながら。
「X部隊か? 俺たちダークシャドウがテメェらX部隊の味方ならこいつら正義部隊は敵か?」
「違っ……今はそんなことを言ってる場合じゃ」
「戯言抜かしてんのはテメェの方だろうがッ!」
怒号が響く。
「こいつら正義は
火花が飛び散る。
「だから潰す。そこに何の問題がある?」
「まったくありません」
答えたのはルキナだった。
「寧ろ、この件に関しては同意します。世界を救うだけなら馴れ合う必要はありません」
ルーティは冷や汗が垂れるのを感じた。
「あははっ! あははは!」
焚き付けるように。
「ぼくたちの友達が戦ってくれてるよお兄様!」
ダーズは肩を跳ねながら笑う。
「お兄様にはいないんだ?」
光の氷柱を空間転移で躱して接近。
「──友達っ!」
まずい。盤面がぐちゃぐちゃだ──!
「こいつは何の騒ぎだ」
言葉を失うルーティの前に現れたのは。
「クレシス! 今まで一体何処に」
「あいつらを分からせてきた」
そう言って親指で指し示したのは今いる位置から離れた場所で臨戦態勢でキーラとダーズの動向を見守るX部隊メンバーだった。一体何をどうすれば複雑な事情を納得させることができたのかは知らないがこの短い間に面倒な工程を個人的に済ませてくれたのは案外救いだったのかもしれない。
「どうもこうも」
ウルフはいい加減に構えを解いてしまいながら顎でしゃくってみせる。
「頭の硬ェ連中だ」
「成る程な」
この短い会話で察してくれたらしい。
「く……クレシスさんはフォーエス部隊の管理下──なんですよね?」
ルーティは縋るような思いを胸に訴えかける。
「説得、できないんですか……!?」
せっかく順調に事が運んでここまで辿り着いたのにやれ正義だの悪だのを貫き通すだけの為に温存してきた全てを無に帰すなんて。それで決着がついたのだとしても笑い話にもならないのに。それはきっと彼らだって本当は分かっているはずなのに──
「……マスターは?」
クレシスは少しの間を置いて空を見上げる。
「、えっ」
ルーティが素っ頓狂な声を上げるのも構わずに。
「……あれか。おーおー派手にやってんな」
「く、クレシスさん?」
「そこで口開けて惚けてる連中を集めろ」
クレシスは振り返る。
「やるぞ」