第十二章
振り返った先にはウルフとカービィがいた。そしていつの間にか自分の腕の中から抜け出してカービィに抱きかかえられているラディスの姿も──ルーティはふっと顔を綻ばせるとフォックスの腕を引いて歩み寄った。急にどうしたんだ、と目を丸くするフォックスにいいからいいからと笑って返しながら感動の再会を想像する。
ひょっとしたら感情が昂って泣いたり怒ったりと忙しいかもしれないな。父さんもフォックスも、互いが特別で大切だったから──というかまさかこのやり取り、もしかしなくても元DX部隊の人数分やることになるのだろうか。それは果たして神様が笑って許してくれるものかどうか──
「こんにちは?」
不意打ちに戦慄して緊張に空気が凍りつく。
「わぁ、感動の再会だね?」
神様という存在は気まぐれで。
いつも人々を惑わせる。
「な……なん……」
「ただの挨拶だよ?」
思うように言葉が出てこないルーティを差し置いて比較的近距離に突如として現れたダーズは後ろ手を組みながら舐め回すように観察する。
「こいつは……?」
素の状態では初対面だったフォックスが困惑する中逸早く硬直を解いたウルフは咄嗟に構えて銃を発砲するも、
「わぁ」
とぼけた声で空間転移を使って呆気なく回避。
「怖いことするんだね?」
何を考えているのか分からない。
「ふふ。あはは」
分からない。
「お前も」
次の瞬間には瞳孔を開いて首を傾けながら。
「お兄様とぼくを引き離すんだ」
その上空では一切手出しはしない姿勢で、けれどこの状況には気付いている様子のキーラが冷めた目でじっと見下している。
「邪魔するんだ」
それは突如として前触れもなく。
「……!」
始まってしまう。
「──危ないッ!」